パソコン操作がうまくできるようになりたい、パソコンをもっと使いこなしたいという高齢者に「ブログを書く」ことをおすすめしています。
パソコンインストラクターであるわたしがパソコンをもっと使いこなしたいという高齢者に「高齢者にブログを書くこと」をおすすめしているのか、その理由を書いてみたいと思います。
ブログってなに?
初めにブログについて簡単に書いておくと、インターネット上で公開する日記のようなもので、インターネットに接続できるパソコンとメールの送受信ができるメールアドレスがあれば開設することができます。
ブログを開設するには
ブログを書くためには、ブログを開設する必要がありますが、無料ブログサービスにメールアドレスや少し個人的な情報(氏名や生年月日など)を登録するだけで開設できます。
ブログはホームページとは違い、あらかじめ見た目が出来上がっている「デザイン(テンプレート)」をクリックだけで選択できるようになっていますので、ブログが開設出来たらすぐに記事を書いていくことができます。
ブログに記事を書くことは難しい?
文章を考えるのは難しいと感じる人がいると思いますが、ブログに記事を書く(ブログに投稿すると言います)操作自体は、記事を書くだけならパソコンでメールのやり取りをした経験があれば大丈夫だと思います。
パソコンをもっと使いこなしたい高齢者にブログを書くことをおすすめしている理由は
ブログ投稿にはいくつかの操作スキルが必要。操作を繰り返すことで操作技術が身につくから
先ほど「ブログに記事を書くことは難しい?」にも書きましたが、ブログに記事を書くだけであればパソコンメールのやり取りをした経験があれば大丈夫です。
ただ、ブログに写真を載せたいというのであれば、
- デジカメやスマホで写真を撮る
- デジカメやスマホで撮影した写真をパソコンに取り込む
- ブログに載せたい写真のサイズを調整する
※あまり大きな写真だとブログの容量が足りなくなるから - ブログ記事に写真を挿入する
といった操作が必要になります。ブログを投稿するたびに上に挙げた操作を繰り返すことで操作技術が身につきます。
特に、デジカメやスマホから写真を取り込む操作が身につけば、はがきに写真をはりつけるといった応用操作もできるようになります。
ブログ記事を修飾する技術が身につくと、他のソフトの操作にも応用できる
たとえばブログ記事の文字の色を変えたいときは、色を変えたい文字を選択して文字色を選ぶボタンをクリックし、色を選択(クリック)しますね。この操作は他のソフトでも同じです。
ブログ記事を入力することは文字入力のスピードを上げられる
ブログ記事に文章を入力するのですから、何もしないよりはキーボードを使って文字を入力する機会が増えますね。入力する機会が増えれば変換もうまくなりますし、指使いも慣れていきます。
文字入力のスピードが上がれば、他の操作に時間を使うことができるようになりますし、他の操作をやってみようと思える機会も増えます。
ブログを書くことのメリット
文章を考えることは思考を整理することができる
ブログを書くということは自分が考えていることや思っていることを文章にする必要がありますね。よほどの筆まめな方じゃなければ年齢を重ねれば重ねるほど、文章を書くということが少なくなります。
ブログに自分の思ったことや考えていることを書こうと思ったら、頭の中で言葉を組み立て文章を作ります。話をするより文章を考えることは、普段使う機会の少ない脳の部分を使うことにもなります。
文章を考える、組み立てる作業は思考の整理にもなるので気持ちを整理するにもいい作業なのではないかと思います。
ブログを書くようになると知的欲求・好奇心が増す
自分が文章を書くようになると、人が書いた文章が気になるようになります。同じブログサービスを使っている人のブログ記事を読んだり店頭に並ぶ本を手に取ったりするようになります。
この「気になる」というところが好奇心ですね。道端に咲いていたきれいな花をカメラにおさめ、ブログに掲載しようとしたら名前が分からない。花の名前をきっと調べるでしょう。これが好奇心です。
なんだろう?知りたい。という好奇心、知的欲求というのはどんな世代であれ、必要な心の動きなのです。
脳トレという言葉がありますが、わたしはこの心の動き、好奇心や知的欲求も高齢者には必要なものだと思っています。好奇心の高まりは暮らしの色を変えます。見慣れていたもの、見過ごしていたものが見える。見えるということは認知です。普段目の前にあったのに認知していなかったものを認知する。脳に対してとてもいい刺激になると思います。
高齢者対象のパソコン教室でブログを始めてみたところ。高齢者に起きた変化があった
文章を考えるということ、インターネット上に自分が考えた文章が載るということに対して最初はものすごく抵抗されました。
ところが、ブログを投稿するたびに教室に通う生徒さんに変化が見られるようになりました。
カメラ・パソコンの操作スキルが向上した
文章を書くのが苦手なら写真を撮ってブログに掲載して「何の写真か」という説明を入力してみるところから始めてみましょうと提案し、文章を書くというハードルを下げてみました。
すると、文章を書くのが難しいという人はカメラを構える機会が増えました。撮影した写真をどう使うかという目的が明確なので、カメラで撮影した写真をパソコンに取り込む頻度が増したことでカメラからパソコンへ写真を取り込む操作は格段に向上しました。
ブログ記事が会話のきっかけになった
教室でひとつのブログを開設し、生徒さんひとりひとりにアカウントを渡し、誰がどの記事を投稿したかが分かるようにしました。
すると、「おはよう」のあいさつの後「ブログ読んだよ」と会話が始まるようになりました。そうです、会話のきっかけになったのです。ブログを投稿した生徒さんは「読んでくれている」と実感することができ、投稿のペースが上がりました。
すると、ブログを読んでいる人から感想を書きたいという話が出るようになりました。読んでいるよ、と伝えたいとも。そこで、ブログにある「コメント」機能の使い方をお話ししました。ブログの記事に関する感想をその場で伝えることができる。それが投稿者への励みにもなりましたし、コメントを投稿した人もブログに参加している意識が高まったように思いました。
好奇心が増し、チャレンジする人が増えた
初めはブログを書くことに抵抗を感じていた人も、少しずつその輪に加わってくれるようになりました。パソコンの電源を入れる機会も増えました。電源を入れたらブログを読む。せっかく電源を入れたからテキストを見直しながら復習してみようかという人も出てくるようになりました。
カメラ撮影の技術が向上した
それからはカメラをカバンに入れていくという人が増えました。撮影する機会が増えればカメラの取り扱いにも慣れていきますし、写真の撮り方も工夫するようにもなります。それまでは記録写真のようにカメラを構えていた人も、作品としてカメラを使って空間を切り取る撮影の仕方をされるようになる人も現れるようになりました。
高齢者にブログをおすすめする理由のまとめ。
ブログを書くというと一番のハードルは文章を考えることだと思いますが、文章は書き続けることで自分の考えや思いを伝えることがうまくできるようになります。
また、文章を考えるというのは普段使わない脳の部分を使うことになるので、脳を刺激することにもつながります。それにコメントや反応があれば、より関心が高まり、好奇心を持って暮らしを見つめられるようにもなると思います。
わたし個人の考えですが、年を重ねると表現する機会が少なくなります。でも、表現というのは普段の暮らしの中でもできること、表現することは自分を客観視することができますので、価値観が固まり過ぎるのを防いでくれるのではないかと思ってもいます。
文章を書くといえば手紙になりますが、ブログは不特定多数の人に見られる、読まれるもの。言い回しや誰かを傷つける文章になってはいないか、別の視点、客観的な見方をしなくていけません。
その客観視と、ブログの記事にできるようなものはないかなと暮らしを改めて見つめなおすこと、そしてこれは何かな?と知りたい気持ちになる好奇心。
これは当たり前だと考えているところではなかなか発揮できないものだと思います。こういったものを発揮することで普段の暮らしの色を変えることがブログにはできるんじゃないかと、それがわたしが高齢者にブログを書くことを勧めている一番大きな理由です。