何かを始めるのに年齢は関係ない。大人になってからの学びについて考える。

習い事をしたい。何を習おうかなと考えたときに、パソコンは?と考える方がいらっしゃるかと思います。

わたしが担当するクラスは3つ。全員が60歳以上。最高齢は今年80歳になられます。この80歳になろうという方のことを少しだけ書いてみたいと思います。

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「パソコンには興味がある。だけど覚えられるか心配。だって年だから…」そう語る彼女との会話

そういって、彼女はわたしの担当するクラスに入られたのは75歳のときでした。初めのうちは、とても居心地が悪そうでした。

「わたしがいたら足手まといにならない?」

そればかりを口にされていました。そのたびにそんなことはないですと否定していましたが、彼女自身がそう感じてしまっている以上、それを取り除くことは容易ではありませんでした。

ある日、彼女と少し話ができる時間がありました。その時、彼女はわたしにこう聞きました。

「先生は学校とか出てるの?」

そうですよね、パソコン教室のインストラクターとして動いているわけですから。

「いえ、独学ですよ」

相当驚いた顔されてました(笑)
そうなんです、わたし、実は独学なんです。パソコン操作、習ったことないのです。ましてや先生になるための講座とか講習とか受けたわけじゃないのです。

「仕事でしてたの?若いときからやってたの?」

質問が矢継ぎ早にやってきました。

「仕事では使ったことないです。ずっと接客業だったので。パソコン買って勉強し始めたのは30歳になるかならないかの頃です」

「なんでパソコン始めたの?」

「実は、娘が病気しまして。それが結構難しい病気で。本屋さんに売っている本には載っていなくて。病院の先生に聞いてもよく分からないから、図書館行ったりもしたんだけど、それでもよくわからなくて。
で、本屋さんでパソコン通信っていうのがあって、それを使えばいろんなことを調べることができるって書いてあって。それがきっかけです」

おかげさまで娘の病気はなんとか全快し、今では元気に働いています。

逆に彼女になぜパソコンをやってみようと思ったんですか?と聞いてみました。すると彼女はこういいました。

「やってみたかったの。今まで、家のことや子どものことでいっぱいいっぱいだったけれど、時間に余裕ができて、何かやってみたくなった。それも、難しいことに挑戦したくなったの。そんなとき、ここの募集記事を見かけて、よし!と思って申し込んでみたの」

「だけど、やっぱり難しくて…。足手まといでしょ?」

と聞かれました。

あえて、なぜそう思うのかを聞いてみました。

「先生が話してくれることを覚えられないから。先生辛くない?」

「そうですね、そういう先生だったら辛いと感じるかもしれませんね。だけど、わたしは違いますよ。覚えてほしいなんて一度も思ったことがないです」

また驚いた顔をされました。

「先生なのに?どうして?」

「うーん、覚えてほしいとは思ってない。ただ、知ってほしい、慣れてほしいとは思ってます。やってみたいけど怖いとか、難しいとか思ってる人に、まずは知りましょって言いたいだけですから。知ったうえでやってみたいと思ってくれるなら、それができるような方法を考えるのがわたしの仕事です。ま、覚えてくれたら最大の喜びではありますけど」

先生と呼ばれているのは便宜上であって、わたし自身は先生でも何でもない、でしょ。あだ名と一緒ですよと笑うと

「先生。こんなに覚えられなくてもいい?居てもいい?」

当たり前じゃないですか!!!!!
だって、操作がうまくいったとき、とっても楽しそうにしてくださってるじゃないですか、それが仲間を鼓舞してるってご存知ですか?皆さん、どんどん感情表現が豊かになっています。それは〇〇さんのおかげなんですよ。いつも感謝してます(^▽^)

というと、とてもとても嬉しそうな顔して

「先生って一人で勉強してたから、みんなで勉強する楽しさが分かってるのね。だから、そういう空気を作ろうっていつも盛り上げてくれるのね。そうか、先生と話してみてよかった。先生も人の子だったって分かってホッとした(笑)」

・・・・・前から人の子のつもりだったけれど違ったのだろうか。

それ以降彼女は、足手まといという言葉を発することが無くなりました。そして、5年めの今でもわたしの授業を楽しんでくれています。

学ぶって何だろう。学生時代とは違う大人としての学びについて考える。

学生時代。学びは半ば強制されているようなもの。自分で学ぶ内容や学ぶ場を選ぶことはできません。それでもそれはみんながやっていることだから、ある程度抑圧はされたかもしれませんが、学び続けることができます。

大人としての学びは、自分で学びたいもの、学ぶ場を選ぶことができます。誰もが学んでいない中で、自身が全て決めて行動する。学びはこちらから行かないと受け取ることができないものです。そして、学びをやめることもある意味自由です。

自由って本当はとても不自由なことかもしれない。
自由だから、終わりがないから。いつでも始められるし、やめることができる。

誰からも強制されることはないですし、学ぶ必要すらないと周りから言われてしまうかもしれないですね。(なかには簡単にやめられないのもあるみたいですが)

だからこそ、誰かのためでもなんでもなくて、自分を満足させてあげられるかということに主眼が置かれるべきものだと思います。

学びたいなと思ったら、自身が満足できるかどうか、そこを想像してみてほしいと思うのです。それが何かの役に立つかどうかは後からの話。それを学ぶことによって自身にどんな喜びをもたらすことができるのか。それはご自身にしか分からないものなのです。

わたし自身は30歳の頃、娘の病気がきっかけで学ぶことになりました。それ自体、誰も望んでいなかった、わたし以外は誰も。

娘の病気について知りたい、その欲求がパソコンと当時主流だったパソコン通信という2つのツールが満たしてくれた。目的ではなく、手段でした。

結果、今は20名前後の方の前でパソコン操作についてお話をするというパソコンインストラクターとしてのお仕事に繋がったわけですが、最初からパソコンインストラクターになりたいと思っていたら、この展開はなかったかもしれないなと。だって、学ぶ熱量が違っていたと思うから。

学んだら役にたつのではなく、学びを役に立つものにするのは自分自身。

いつも生徒さんに言うのは、何かをしたら何かを得られるという、エスカレーターのような展開はない。あるとすれば、何かを学んだらそれを役にたつものにできるかどうかは皆さん次第だと。

パソコンを習って終わりにしてもいい。それでご自身が満足できるならそれで良し。

だけど、習ったからには形にしたいと思うのであれば、その機会を作るのはご自身。

生徒さんの中には、パソコン操作が必要な地区の役員を引き受け、毎月、地区の会報を制作している人がいます。地区の方はとても喜んでくださって増刷、増刷の声がかかると。

ある会合に参加されている方は、研修旅行のしおりを作って大好評だったと。

それから、家族の予定をエクセルでまとめて印刷して冷蔵庫にペタッと。中には、家計簿をつけ始めた人もいれば、血圧を毎朝、毎晩測ってエクセルでまとめ、グラフにしているという方も。

授業内容でお伝えしたこともありますが、それをご自身で応用されている方もいらっしゃいます。

今までやろうとしなかったことが習ったことで「やってみようかな」に変化する。自身で試行錯誤し完成。この達成感はなかなか得られないものだと思います。

それを嬉しそうに見せてくれる。それがわたしのやりがいのひとつ。

大人になってからの学びは、自分で学ぶことを決められます。そして、満足させてあげなければならないものは他人ではなく、学ぶご自身だけ。

学んだものを活かすも寝かすもご自身が「選ぶ」ことができるのです。

学びに年齢は関係ない!と言い切れる、その理由。

パソコンインストラクターとしては相当な遅咲きであるわたしが言いますので、説得力…ないようなあるような、ですが。

実は、文系か理系かと問われれば、間違いなく理系ではないわたしが、パソコン操作を勉強する!と断言した時、周りは猛反対しました。

だって、初期投資、結構かかるでしょ。おまけにそのころのパソコン通信は電話回線を分岐させたもの。つまり通信を繋げば繋いだだけ通信料がかかる。

第一、理系じゃないわたしがパソコン!?ない!ない!

でした(笑)

でも、勉強して良かったと今は心底思っています。これは偏に娘が全快したから言えることですが。

娘が全快した時点で当初の目的は果たしたのでやめることができたのですが、しつこく今でも続けていますね。それも、皆さんの前でパソコン操作についてあれこれ話しているという…。

あの頃のわたしが知ったらどんな顔してくれるだろう…と時々思ったりもします。

学びに年齢は関係ないと思っています。そして習熟度もご自身が満足するかしないかだと思います。

始めてもやめられる。といっても、パソコンの場合は、初期投資が結構かかりますし、月々もインターネット回線を契約すれば掛かってしまう経費です。

しかし、一時に比べれば安価なパソコンが手に入るようにもなりました。わたしがパソコンを操作し始めた頃は20万くらいするのが一番安かったんじゃないかな。

前に書いた記事ですが、最低限、この辺りをチェックしてもらって購入検討してもらえればいいかなと思います。

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この記事が、年齢を気にして一歩踏み出せない人の背中をちょっとでも押すことができたらいいなと思いつつ、今日は終わりにしたいと思います。

記事下
高齢者対象のパソコン教室の先生

今日もお読みいただきありがとうございます。
お問い合わせ、ご質問などはお問い合わせより承っております。
この記事を書いている人に関することは本サイト「高齢者のためのICT教室」についてに書かせていただいております。

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