高齢者はITに弱いというのは本当だろうか

高齢者が持つ「IT」に対する苦手意識は、ITの登場から数十年経過してもあまり変化はないように思います。

高齢者(60歳以上)を対象としたパソコン教室でインストラクターをしていると、確かに「IT」というものに対する苦手意識は、パソコンを習おうと通っている人たちにでさえある。

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高齢者にとってITは無くても困らないもの。

確かにITというと「使わなくてもいいもの」「生活するのに困らないもの」ともいえます。特に高齢者にとってそれまでの長い年月積み上げた暮らしに「無かったもの」なのですから、いまさらITを暮らしに取り込まなくてもいい、そう考える人が多いです。

とはいえ、今の時代、多くの端末や電化製品がインターネット回線に接続される時代。携帯電話からスマートフォンへと機種変更する高齢者も多い。ITという技術の恩恵を少なからず受けているとも言えるのではないでしょうか。

ところが、ITというものを高齢者が苦手としているというのは、高齢者自身もそうですが、実は高齢者と共に生きているわたしたち世代も孫世代も高齢者はitが苦手だと思っているのではないでしょうか。

高齢者が持つITに対する苦手意識は、じっくり取り組むことができれば軽減できる

「IT?使えないでしょ?」という声、よく聞きます。「教えても覚えない」、これもよく聞きます。

わたしは10年近く、パソコン教室で高齢者にパソコンを教えていますが、高齢者がITに対して苦手意識は持っていても、それなりにじっくり取り組むことができれば使えないということはないと思っています。

こういう話をすると、決まって「仕事だからでしょ」と言われます。確かに仕事ではありますが、わたしにも高齢の家族がいます。兄弟たちもそろそろ定年が近づいている年ごろでもあります。

実家に帰れば「教えて」と言われます。何度も同じことを話すことがあります。だけど、それで相手が「安心して使うことができる」のであればそれでいいと思っています。

高齢者がITに対して苦手意識を持つのは、今までの暮らしの中に無かったものだから。そしてそれがなくても生きて来られたという積み重ねがあるから。無くてもいいものにあえて挑戦する、取り入れるからこそ、不安を抱えてしまうのは仕方ないことだと思います。

ITというのは、先ほども書いた通り、生活の中で触れずに暮らすことが少なくなったものです。無くてもいいものから、あればもっと手間が省けたり何かを得られることであったりという副産物のようなものがあります。

ITはどんな人にでも使ってもらいたいと考え進化している技術だと思う

そして、ITというのは初めは違ったかもしれませんが、今は「どんな人にでも使える技術」という部分に重点を置いています。それは子どもであろうと高齢者であろうと、障がいのある人にであろうと。

ITという言葉の間に「C」が入った「ICT」という言葉も登場したように、コミュニケーションの補完ツールとしての位置づけにもなってきたのではないかと思うのです。

ITという技術を使ってコミュニケーションを深める。離れて暮らす家族や友人との連絡手段を増やすこと。それがSNSという形で進化しているのではないかと思うのです。

ITに対する苦手意識を取り払うには安心が必要。

ITに対する苦手意識。これを取り払うことができれば。安心して使う仕組みが作られれば、高齢者に限らず、暮らし方の方法を新しく手に入れることになると思います。

パソコン教室で高齢者にパソコン操作を教えていると、パソコン操作を習いたいとやってきている人たちなのに、拒否反応のようなものが目に見えます。その不信感たるやこちらが怯んでしまうくらいです。

そうなってしまうともう何が必要かというと、インストラクターである「わたし」を信頼してもらうしかありません。

  • 何があっても怒らずに対応する。
  • パソコンにとってあまりいいことではないこと(電源をブチッとか)はしないで、それ以外は大丈夫だからゆっくり操作してみて。
  • 「こんなこと聞いたら恥ずかしい」と思っても質問してほしい、それが教室の皆さんの為になるから。
  • 分からないから、知らないから習いに来ている。分からなくて当然、知らなくて当然だと割り切ってほしい
  • やってはいけないことをしたら叱る
  • 特別扱いはしない
  • 覚えるのではなく慣れることを目的とする
  • 自分でやってみたいと思ったらやってみる。思うようにならなかったら元に戻す

上に書いた5つを心に留めて、真正面から向き合うしかありませんでした。そうやって月に2回の授業を進めていくうちに、信頼を得て長い人ではもう8年、教室に通ってきてくれています。

基本が身に付くまでコツコツ。積み上げるように「追加」して話していく

一年目は必ず、基本操作に重点を置きます。それから文字入力の機会を増やすようにしました。文字が入力出来れば文書を作ったりメールをやり取りしたり検索したりはできるようになります。マウス操作に対する苦手意識は、初めはクリックだけでできることを。少しずつドラッグや右クリックなどを「追加」していきます。

わたしたちにとっては手間がかからない右クリックですが、右クリックをするために使う中指というのは、あまり動かす機会がない指です。クリックがうまくできないうちに右クリックを教えてしまうと混乱します。

クリックは「あなただよ」と呼ぶ。ダブルクリックは「お願い」。ドラッグは「こっちにおいで」。右クリックは「扉を開ける」。

クリックすれば選ばれたことがパソコンに伝わる。マウスの左ボタンを強く押してしまうとパソコンはビックリして違う操作をしてしまうかもしれない。大好きな人の肩を優しくチョンとするような感覚、と話すと大抵の生徒さんは「そんなもん忘れたわ!」と大笑いしてくれます。この大笑いが大事。指の力が抜けるから。

実は、高齢者のマウス操作がうまくいかない理由のひとつに「力を入れ過ぎる」というのがあります。これを取り払うには力を抜く事が必要なのです。

力を抜くには笑うのが一番です。だからわたしの授業は笑いが絶えません。誉め言葉かどうかは分かりませんが、「先生、お笑いの人(芸人さん)になったらええのに」と言われます。

笑ってくれさえすれば気持ちは落ち着きます。気持ちが落ち着けば向き合うことができます。

安心するためには「分からない」「知らない」と言ってもいい雰囲気づくりが必要

それから、分からないこと、知らないことは恥ずかしいことでも何でもないということを常に話しかけています。年を重ねると「分からない」「知らない」というのは難しくなります。それは自分もよく分かっています。

若いころは「できないと思われるのが嫌」という気持ちがあって「分からない」と言えなかった。年を重ねたら重ねたで「その年になってそんなことも知らないのか」と言われたくない、そう感じているんじゃないかと思ったのです。

だから、分からない、知らないと言える空気をとにかく大切にする教室づくりを徹底しました。どんな質問や分からないという声を聞いても動揺せず、「有難う、そう思っていても言えない人がいるだろうから、助かります」と。

知識不足ですぐには答えることができない質問には、後日調べて必ず授業で話すようにしました。すると、先生でも分からんことがあるんだ、でも分かるように話すために調べてくれるんだと思ってもらえるようになりました。

普段の会話の中でも同じです。わたし自身が分からない、知らないを言うようにしました。出来ないことも恥ずかしげもなく。すると、生徒さんは「先生でも知らんことがあるんや」と安心してくれるようになり、発問が多くなりました。そのおかげで授業の深度が深くなった。

一方通行の授業じゃなく、ライブな授業を。そのためにわたし自身が学びを深めなければなりませんが、もっと教えて!と言ってくれる生徒さんたちがいる限り、わたしは学びを辞めないと思います。

高齢者はITが苦手と言われることに対するわたしの考え、まとめ。

ITという技術に対する苦手意識はなかなか手強いものがあります。それはいつも感じながら授業を行っています。ある日、生徒さんにこんなことを言われました。

「先生は教える人じゃないね、伝える人だ。パソコンって使えると楽しいよって伝える人だ」

この言葉はわたしにとって最高の誉め言葉です。そうなんです、便利だから使うんじゃない、楽しいから使って!とお伝えするのがわたしの役割。

苦手意識を払しょくするためには、安心や安全が必要。安心に使うためにはやっていいこととだめなことを伝える。困ったことがあったらすぐに言えるように信頼を築くこと。そして、自分にとって手軽であったり楽であったりすることが決して相手のそれではないと知ること。何を目的とし、どこまでやればクリアなのか到達点をしっかり示すこと。その到達点は、教える側のものではなく、相手にとってのもの。

高齢者がITを苦手としているのではなく、ITに対する苦手意識を周りがしっかりと理解したうえでその人にとってあるといいものを示すことができるかを考えられるかどうかだと思います。そういう人や仕組みがあれば、ITという技術の恩恵を受けられる高齢者は増える、と思います。そのためにわたしができることをコツコツやっていこうと思っています。

パソコン教室の先生
パソコン教室の先生

市内の60歳以上の方を対象としたパソコン教室でインストラクターをしています。授業の中でお話している内容やパソコン相談会でお受けするご相談などについて書いています。

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