高齢者にスマホの使い方を教えるときに気を付けていること

スポンサーリンク
高齢者とスマホ
高齢者とスマホ
この記事は約8分で読めます。
記事内にプロモーションが含まれています

高齢者を対象としたパソコン教室の生徒さんの中にもスマホやタブレットを持つ人が増えてきました。パソコン教室に通っているという点では、ITやICT、デジタル関係に興味や関心がある人たちですが、それでも初めて手にするスマホやタブレット、不安に感じることも多いようで休み時間になれば必ず誰かがスマホを片手にやってきます。

先日もそんな感じでスマホ片手にやってきた生徒さんから

子どもに聞くと「前に教えたやん」って絶対に言われるし聞きづらいわー

と言われました。すると近くにいた生徒さんから

そうやって!最後には「貸してみ!」ってスマホ取り上げるんやで。何されてるか全然分からん。聞いても「このまま使ったらええから」て言うしな~

いや、でも子どもさんも一生懸命教えてくれてるんやと思うよ、悪気もないしね。どうやって教えたらええんやろ?て考えて話してくれてるやろし。教えるって難しいやん。

と返すと確かにそうかもしれないねという話にはなってその場は終わったのですが。

スポンサーリンク

高齢者にスマホの使い方を教えるときに気を付けていること

聞かれたことに答えるのと一から教えるのは違う

まず、スマホの操作と操作を教えるというのは別のことだということ、教えるには2つあるということをお伝えしたいと思います。

教えるとは「聞かれたことに答える」も含まれますが、教えるとは本来「ひととおりのことを順を追って話すこと」だと思います。

聞かれたことに答えるには、相手の話をよく聞くことと咀嚼力が必要

生徒さんとの会話の中にあるのは「聞かれたことに答える」ですよね。「聞かれたことに答える」というのは聞かれた側にその人以上の知識が必要です。ただ知識があればいいというわけではありません。持っている知識を聞いてきた人に合わせて話す「咀嚼力」が必要です。

なので、「聞かれたときに答える」ときは、相手の話をじっくり聞くようにしています。正直、何を聞いているのかが分かりづらいことがありますが、人に何かを聞くときというのは困っている状態なので、まずは落ち着いて現状を話してもらって、どうなりたいかという希望を聞き取ることに徹します。

分からないことをどうしたいか、聞いてきた相手に決めてもらう

たとえば、スマホの画面に変なものが表示されたというならそれを解消するだけでいいのか、それとも解消したうえでそうなってしまった原因を話してほしいのか、それは人によって違うんです。

スマホの画面に変なものが表示されたのを解消するだけでいいのであれば、スマホを借りて解消してあげるだけでいい。

なのに、聞かれたら教えなくちゃと変なものが表示された原因から話す人がいます。もしかしたらそんなことはどうでもいいから早く直して!と思っているかもしれないのに、説明から入ってしまう。

どちらにしてもスマホの画面に変なものが表示されたことは解消できますが、解消すればいいだけなのに説明されても頭に入ってこないと思っているかもしれないですし、説明したほうも話を聞いてくれないと思っているかもしれない。

わたしの対応は、この画面消すだけでいい?と聞かれた段階で聞いてしまいます。

「消してくれたらいい」という人がほとんどですが、自分でやる?わたしがやる?と相手にその後の対応を選択してもらうようにしています。

自分でその画面を消す操作をしたいというのであればその方法を伝えながら対応しますし、代わりに操作してほしいと言われたら操作してしまいます。

中には、代わりに操作してほしいと言いつつ、また同じ画面が出てしまったら困ると言う人もいますが、その時は「だったら自分でやってみる?そのほうが覚えられるよ」と言います。

1回教えてもらっただけで覚えられない」と言われることもあるんですが、メモしてもらって、「またそうなってしまったときにはメモを見て操作して。それでもうまくいかなかったらまた聞いてね」と伝えるようにしています。

聞かれた側としてメモしてもらう利点をあげるとしたら

  • 自分が相手に伝えたことが残っている
  • メモを見ながらやってもらうことで、どこでつまづいたかが流れの中で確認できる
  • 操作について話せばいいだけなので説明しなくてもいい

でしょうか。

スポンサーリンク

スマホの操作方法を一から教えるときは?

では、困ったことではなくて一から教えてほしいと言われた場合。

いきなり教えない。まずは聞き取り。

いきなり教え始めることはしません。まずは相手の状況を確認することから始めるようにしています。たとえば、スマホは初めてでもパソコンは操作しているのであれば、教えなくてもいいことというのが出てきます。

パソコンを操作しているというのであれば、パソコンを使ってどんなことをしているのかも聞きます。ホームページを検索しているとかメールの送受信をしている、文字入力はかな入力なのかローマ字入力なのか、などです。

そしてもうひとつ、携帯電話についてもどんなことをしているかを聞いています。これを元に教える話を組み立てるために聞き取った内容をメモしておきます。

スマホ操作を教えるときに一番初めに教えるのは、画面のロック解除とかかってきた電話に出る方法

それらを聞き取ってから、いよいよスマホの使い方をお話するのですが、最初にお話するのは画面ロックの解除方法とかかってきた電話に出ることです。

実は、携帯電話を使っていてもメールより電話で連絡する人のほうがまだまだ多いのです。スマホに変えて電話がかかってきて初めて、どうやって電話に出ればいい?!と焦ったという話をよく耳にします。

なので、まずはかかってきた電話に出る操作を初めにお伝えするようにしています。

携帯電話からスマホに変えただけなのに電話に出られないというのは、スマホ操作習得の出鼻をくじくことになりかねません。

連絡先やアドレス帳に登録してある電話番号に電話をかける

次に、連絡先やアドレス帳に登録してある連絡先に電話をかける操作をお伝えします。携帯電話の中にはよく電話をかける人を分かりやすいように登録することができましたが、スマホでもそれは可能ですので、「よく電話する人っている?」と声をかけ、その人を電話をかけやすいところに登録し、その人にかけるときはここだよとお伝えするようにしています。

シニア用のスマホに多いのですが、画面をタップするとき思ったより指に力を入れないと反応しないものがあります。画面を指で押すことで画面が割れてしまいそうに見えるそうなので、これくらいでも大丈夫だよと画面を一緒に押してみるようにもしています。

合わせて、戻り方が分からなくなったら元の画面(画面ロックを解除した直後に表示される画面)に戻る方法をお伝えします。

携帯電話でできていたことをできるようにしていく(必要なら設定を変更する)

これらを伝え終えたら、お話する前に聞き取っていた「携帯電話でやっていたこと」ができるようにしていきます。その時に使うのが聞き取った内容をメモしたもの。出来るようになったことをひとつずつ潰していくように消していきます。

携帯電話でできていたことができないというのは、高齢者にとって大きなストレスになります。それを防ぐためにもまずは「携帯電話でできていたことをできるようにする」というのを第一目標にします。

このメモを用いることで、客観的に到達度を図ることができますし、伝え忘れも防ぐことができます。

アプリのダウンロードとインストールはスマホ操作に慣れてからでも遅くはない

高齢者の中でもアプリを使えばいろんなことができるようになることは伝わっていますので、スマホを手に入れたらすぐにアプリを使いたい人というのは必ずいらっしゃいます。中には、

友達がスマホでゲームしてたから同じゲームをしたい

という人もいます。

そういうゲームのアプリはダウンロードしたりインストールしたりという操作が必要ですし、アプリには無料のものと有料のものがあります。アプリのダウンロードやインストールには準備がいるから、スマホが操作できるようになるまで待ってもらうか、代わりにダウンロードやインストールだけしてあげるかにしたほうがいいかなと個人的には思います。

スマホの操作方法について聞いているようで実は「アプリそのものの操作方法」を聞かれている?

スマホの操作方法を聞かれる人に話を聞くと、ほとんどが「アプリそのものの操作方法」だったりします。そのアプリを使っている人なら教えることも聞かれたら答えることもできると思いますが、自分が使っていないアプリだと聞かれても困る場合もあります。

使ったことがないアプリについて操作方法を聞かれても、「そのアプリ使ってないから教えられない」とわたしは伝えるようにしています。

高齢者にスマホの使い方を教えるときに気を付けていること、のまとめ。

高齢者だからスマホやタブレット操作が難しいと思われる人が多いのですが、年齢や年代が原因で使いづらい、難しいと感じるわけではありません。

若い世代(40~50代)でもスマホが難しく感じられる人が意外と多くいらっしゃいます。うちに相談に来る人もこの世代のほうが多い。

スマホは高齢者にとっては使いづらい、難しいものなのか
先生、スマホって難しいんでしょ?そう言ってわたしの手にあるスマホをのぞき込む生徒さん。家族にスマホなんて買っても無駄、使いこなせるわけがない!と購入を反対される高齢者の方も多くいらっしゃいます。 スマホは高齢者にとって「難しい」ものなのか

スマホはアプリをインストールすることでどんどん「できる」ことが増えていきます。でも、やっぱりスマホは電話、なのです。

今まで使っていたガラケーと同じように電話がかけられたり、受けられたり。目覚ましアラームがセットできたり、メールの送受信が問題なくできるようにするのを第一の目標として、お伝えしてあげてほしいと思います。

タブレットの場合はパソコンの代替として考えておられる方が多いので、パソコンでよく使っているネット検索や地図検索を最低限お伝えしてあげてほしいと思います。

そして一番大切なのは、一度に伝えない。先回りしないこと。

覚えるより慣れる方向へ導く。基本的操作や設定に関しては携帯電話会社の窓口に行くことを勧める。できれば、聞かれた内容をメモして持たせてあげてください。

教えるという供給と教えてもらいたいという需要のバランスが崩れることが一番の問題です。これはお互い不快な思いをしてしまうことが多いから。

基本は大事だけど、どこまでを基本とするかは教える側の考え。最低限、携帯電話でできていたことを、そしてパソコンでできていたことをお伝えするだけに留めておくほうがいいんじゃないかと個人的には思っています。

高齢者のパソコン操作習得への早道は「覚える」力ではなく「考える」力をつける
「パソコン操作を覚えられない」と言われることが多くありますが、覚えるのではなく慣れてほしいとわたしは思います。そして、考える力を持ってほしいとも思っています。記憶するより考え慣れることがパソコン操作に限らず、大切なことだと思います。
タイトルとURLをコピーしました