年度末が近づくと町内会や自治会、子ども会など地域の会計報告書に関する相談が増えますが、決まった会計報告書に入力する方法が分からないというものから、一から会計報告書を作らなければならないといったものまで多岐にわたります。
また、会計報告書をWordで作るかExcelで作るかという問い合わせもあります。自分の前に会計をされていた方から引き継いだ会計報告書がWordで作られているが、Excelで作り直したいという問い合わせもあります。
会計報告書は、だいたいが「表形式」になっているので、WordでもExcelでも作成することは可能ですが、値を入れれば自動で計算してくれるようにしたいというのであれば、Excelを使ったほうがいいかもしれません。
また、会計報告書に必要な現金出納帳もExcelで作成し、費目ごとに自動計算させたものを会計報告書に反映させると少し手間が省けるのではないかと思います。
この記事では、自治会などの会計報告書を一からExcelで作成する方法をご紹介します。
Excelで会計報告書を一から作る方法
会計報告書に必要な費目ごとの集計ができていると仮定し、会計報告書を一から作っていきます。
Excelで表を作成するには、ワークシートに並ぶマス目(セルと呼びます)に必要な文字列や数値を入力し、計算が必要であれば計算式を入れ、罫線を入れて配置を整えてから印刷設定を行う流れになります。
- 必要な文字列や数値をすべて入力
- 計算が必要なら計算式を入れる
- 罫線を引く
- 文字列や数値の配置を整える
- 印刷設定を行って印刷する
必要な文字列や数値を入力する
まずは、下の図のように用紙に対しての文字の位置などは気にせず、ひとつのセルにひとつ、必要な文字列や数値を入力していきます。

計算式を入力して自動計算できるようにする
会計報告書で使用する計算式は足し算と引き算になりますが、よく使うのは足し算になります。Excelでは足し算はSUM関数を使います。
サンプルの場合、収入の部合計のセル(B10)を選択した状態で、「ホーム」タブをクリック→「オートSUM」ボタンをクリックします。

「オートSUM」ボタンをクリックすると、計算対象となる数値(金額)が点線で囲まれた状態になります。

選択範囲が間違っていなければキーボードのEnterキーを押します。

これで収入の部の合計を求めることができました。
支出の部の合計も同じように求めてみましょう。

支出の部の合計を求めることができたら、収入の部の合計金額から支出の部の合計金額を引いて差引残高を求めていきます。
差引残高を求める計算を入力するため、キーボードの「=」を入力し、

次に、収入の部の合計を求めたセルにマウスポインタを合わせてクリックします。

収入の部の合計金額から支出の部の合計金額を引きたいので、キーボードの「-」を押します。

次に、キーボードの「-」を押します。支出の部の合計金額が入ったセルをクリックし、

Enterキーを押して計算式を確定すると、差引残高を求めることができます。

これで差引残高(次年度繰越)を求めることができました。
次からは印刷に向けて体裁を整えていきます。
日付やタイトル、項目の位置を調整する
必要な文字列や数値、計算式を入力できたら、印刷に向けて位置の調整や罫線を引くなどして体裁を整えていきます。
会計報告書の日付は用紙の右上に、会計報告書のタイトルは用紙幅の中央に、会計報告者などは用紙の右下に配置します。
Excelでは、用紙に対して左揃え・中央揃え・右揃えを設定することができないので、セルをそれぞれの位置に切り取って貼り付けたり、「セルを結合して中央揃え」を使って用紙の幅の中央に揃えたりしていきます。
会計報告書の日付が入ったセルを選択して、【ホーム】タブにある「切り取り」ボタンをクリック、

摘要の入った列の一番上のセルを選択して「貼り付け」ボタンをクリックして、セルを移動します。

セルの移動はドラッグでもできます。
会計報告者の入ったセルを範囲選択すると周囲が緑の枠線で囲まれます。マウスポインタを緑の枠線に合わせると白い矢印に上下左右の矢印に変わるので、

移動させたいセルまでドラッグすると、セルの移動ができます。

会計報告書のタイトルを用紙の幅中央に揃えたいのですが、用紙に対して中央に揃えることができないので、費目から適用までの幅を選択し、「セルを結合して中央揃え」ボタンをクリックして表の幅に対して中央に揃えていきます。

セルからはみ出した文字を、セル内に収める
一部、セルの幅からはみ出している文字列があるので、列幅を調整します。列幅を調整するには、列番号の境界線でダブルクリックすれば列の中で一番長い文字列の幅に自動調整してくれます。

項目などはセルの中央に配置したほうが、区別しやすくなるのでセル内で中央揃えを設定しておきます。

数値には桁区切りスタイルを適用し、カンマで区切って分かりやすくするため「桁区切りスタイル」を適用します。

最後に、収入の部、支出の部にそれぞれ罫線を引いて完成です。

印刷の設定をする
会計報告書ができたらいよいよ印刷です。早速、【ファイル】をクリックし、「印刷」をクリックしてみると、A4用紙で設定しているはずなのに会計報告書が小さく印刷されてしまうようです。

会計報告書が小さく作られてしまっているので、文字の大きさを大きくしたり列幅や行の高さを調整したりして用紙に合うように調整しなくてはいけない…と思われるかもしれませんが、Excelには「拡大/縮小印刷」という機能があるので、それを使って用紙に合うように拡大して印刷するよう設定していきます。
【ファイル】をクリック、「印刷」をクリックした画面で「ページ設定」をクリックします。

ページ設定画面が開いたら、拡大縮小印刷の「拡大/縮小」の数値を100%より大きな値(例では150%)にしてOKボタンをクリックします。

この拡大/縮小印刷を使えば、文字の大きさや列幅、行の高さなどを調整しなくても用紙に合わせて表を拡大したり縮小したりして印刷することができます。

表の大きさは用紙に合わせることができましたが、全体的に表が用紙の左側に寄っています。
用紙の幅中央に表を印刷するには、同じく「ページ設定」を開き、【余白】タブをクリック、「ページ中央」の「水平」にチェックを入れてOKボタンをクリックします。


この記事では、Excelの基本操作を使って一から会計報告書を作る流れをご紹介しました。ご紹介した操作はどれもExcelの基本的な操作となるので会計報告書を作る以外でも使えます。
会計報告書だけを作成する(計算式を入れる必要がない)場合は、Wordで作ってもExcelで作っても問題ありませんが、値を入力するだけで計算してくれるようにしたいのであればExcelを使います。
別の記事になりますが、Excelで現金の流れが分かる「現金出納帳」を作成する方法もご紹介しています。
現金出納帳で日々のやり取りを入力するだけで費目ごとに自動集計できるようにしておけば、会計報告書に転記するだけになるので手間が省けると思います。
現金出納帳で費目ごとに自動集計するには、関数を使った方法と「テーブル」という機能を使った方法があります。