以前、別の記事でExcelを使って会計報告を作る方法をご紹介しましたが、「予算と決算の比較増減(予算と決算を比べてマイナスが出たかプラスがでたかが分かる)を入れた報告書を作りたい」と別の質問をいただきました。
決算報告・会計報告の比較増減の示し方に明確な決まりはない
会計報告・収支報告では、予算に対して決算額がプラスかマイナスかを表す「比較増減」を入れる場合があります。ただし、これには明確な決まりはなく、その団体ごとに決まりが異なるようで、予算額から決算額を引いたり、決算額から予算額を引いたり、また、収入の部と支出の部で引き方がかわったりするところもあるようです。
それに、町内会や団体などはプロが会計を担っているわけではなく、担当者が日々のお金の流れを取りまとめていらっしゃるところがほとんど。前任者のやり方を踏襲しているというところが多いのではないでしょうか。
だとするなら、前年度の書式に合わせて作成されるのが望ましいと言えるのかもしれません。
会計報告の各収入の予算と決算の増減を表す
今回、ご質問いただいた方のお話を元に下の図に示した形で作成してみました。ここから比較増減を求める計算を入れていきたいと思います。
予算と比べて決算が多かったか少なかったか計算するには
「予算があって実際はこれだけ収入があって、予算と比べて決算がいくら増えていくら減ったかが分かるようにしたい」とのことでしたので、今回は決算額から予算額を引いて、その額が予算よりも多かったか少なかったか表していきたいと思います。
計算式としては、
となりますので、前年度繰越金の決算額が入力されている「E3」から予算額が入力されている「D3」を引きます。
次に、会費の増減を計算するため、上と同じようにひとつずつセルを選択して計算式を入れてもいいのですが、会費から下は同じ計算で計算対象となるセルが1つずつ下にずれるだけなので、「オートフィル」を使って計算式をコピーします。
オートフィルを使って計算式をコピーするには、前年度繰越金の比較増減を求めたセルを再度選択すると、セルの右下に■(黒か緑)が表示されます。これが「フィルハンドル」と呼ばれ、計算式や文字などのコピーをするときに使います。
選択したセルの右下にある■にマウスポインタを合わせて、
下方向へ、当期収入合計の行までドラッグします。
計算式がコピーされました。内容を見てみると、会費と寄付金には-が出ています。会費と寄付金は予算額より少なかったということが分かります。

先生、合計のところが0になってるで
これは、予算額と決算額、それぞれの合計が求められていないからですね。では、予算額・決算額の合計を求める計算式を入力してみましょう。
当期収入合計の比較増減が0になっているのは、予算額と決算額の合計が求められていないからです。
予算額の当期収入合計を求めたいセルをクリック→「ホーム」タブの中にある「オートSUM」ボタンをクリックすると、予算額の前年度繰越金から雑収入までが点線で囲まれるのでEnterキーでセルを確定します。
再度、予算額の当期収入合計を求めたセルを選択し、右下の■にマウスポインタを合わせると+に変わるので
決算額の当期収入合計までドラッグします。
これで、収入の部の予算額と決算額の比較増減を求めることができました。
「-(マイナス)」ではなく△を付けたい

先生、(会費と寄付金の)マイナス、△にできへんか?
Excelで計算結果にマイナスがつくと「-0000」と表示されますが、この「-」を「△」に変える方法についてご質問いただきました。
マイナスが付いたままじゃダメなのかというとそうではなく、諸説あるのですが、偽造防止や数字と区別しやすくするためなどといった理由で、「-」という記号を使わず「△」でマイナス分を表すところもあるようです。
ところが、数字の前に△を入力すると計算対象の数値ではなく文字とExcelは認識するため、手入力はできません。そこで、登場するのが「セルの表示形式」です。
マイナスの数値に「-」ではなく「△」をつけるには、対象となるセルを選択した状態で
「ホーム」タブにある「標準」横の▼をクリック→「その他の表示形式」をクリックします。
セルの書式設定画面で、分類の中から「数値」をクリックし、「桁区切り(,)を使用する」にチェックが入れて
負の数の表示形式にある、数字の頭に△がついたものを選択し、OKボタンをクリックします。
比較増減で予算に足りなかった数字の頭に△を付けることができました。

Excelで会計報告や収支報告に予算と決算の比較増減を入れたい、のまとめ。
会計報告や収支報告などで使った金額と来年度に繰り越せる額だけを報告するというところもあれば、年度初めに立てた予算の達成度を比較増減という形で表すところもあるようです。
会計報告や収支報告などをパソコンで作成しているなら、前年度のファイルを引き継ぐので基本的には数字や摘要などを入力し直すだけで報告書は作成できますが、何らかの理由でファイルを引き継ぐことができなかったら自分で作るしかありません。
ただ、パソコンでファイルを作る利点は一度作れば使い回すことができるところ。
作るのは大変ですが、一度作ってしまえば次の年からは数字や摘要を直すだけになります。勉強のために、会計報告や収支報告をもらったら自分で同じものを作ってみるのもいいのではと思います。


